2000年8月掲載




小峰 尚(おみね・しょう)さん 昭和7年、東京浅草に生まれる。戦時中籐工芸の職人であった母方の伯父である、増田忠治氏と一緒に長野県へ疎開したことをきっかけに籐工芸の道に入る。「籐」という天然素材との出会いを大切にして、素材の持つ様々な可能性を考えながら、日常の生活の中で親しまれ、喜ばれる、物づくりを続けている。(平成3年黄綬褒章受賞)



   
小峰さんご夫妻





ーー籐を使ってどんなものを作っているのですか。
小峰 日本人の畳の暮らしに合った籐製品を作っています。座敷椅子や正座椅子、丸椅子といった椅子が中心で、正座する時にお尻に敷く”楽座”や、枕、ベッドなどですね。畳の暮らしの中で、ちょっと腰掛けたり、手軽に使えるものです。


ーーもの作りで考えていることは。
小峰 使い勝手が肝心ということ。お客さんはお年寄りが多く、座り心地が良くて、体に楽なものを作っていきたい。特に椅子作りは、微妙な寸法の違いで使い心地が随分変わってくる。作っていて椅子が一番難しいよ。できたものを実際に使ってるところまで見届けたい仕事だね。具合良く使ってもらうのが、うれしいんだから。


ーー椅子作りの難しさは。
小峰 椅子作りは素材が決まれば、形や寸法などで大体のところがみえるが、一度座ってもらって、ここの寸法をこの寸法に直す、というように作るのが一番いい。座の高さや肘掛の具合など、一人ひとりしっくりくる寸法が違うから。ベッドとかもいろいろと考えて作っているけど、万全なものを作るのはやはり難しいね。


ーー籐の良さは。
小峰 籐の特徴はまず通気性がいいし、熱を持たないこと。自然素材のうるおいやぬくもりがあって、楽しめるんじゃないかな。直線にしても完全な直線でなく、丸みやぬくもりを生む。畳のあたりもやさしいしね。


ーーお年寄り向きの”つかまり立ち”も好評のようですね。
小峰 ”つかまり立ち”は、お年寄りが体を動かす時、膝や腰に負担がかかるので、立ったり、座る時に体を支えられるように。枕は、寝るときや座ってもたれる時に腰にあてがって使う人も結構多いよ。


ーー大量生産、情報革新の世の中ですが。
小峰 携帯電話やインターネットは確かに便利だけど、手作りでものを作ったり、売ったりする時に、時代にどの程度合わしていかないといけないのかなあ、というのが実感だね。手作りだから、口コミで広がるくらいがちょうどいいのかもしれない。大量生産でできない良さを、籐へのこだわりを持って続けていきたい。


ーー今後、どんなことを考えていますか。
小峰 暮らしの中で”座る”というのはとても重要な部分だと思う。畳の生活をベースに、老後の快適な生活に役立つものを提案していきたい。リビングなども、どっしりしたソファから、すっとどかせる籐製品に変えてみれば、生活が変わると思うよ。



     
アーム付ダイニングチェア 平座イスと座敷イス 丸籐安楽椅子
  この座敷イスは座高15p。正座の姿勢で、膝から下がイスの下に入る。
 
ラタンクラフト車椅子 舟型枕 座敷イスとつかまり立ち
 籐を使った車椅子。オーダー 枕のほか、腰にあてて使う人も多い。価格は1万円から
 
籐張ベッド ミニ楽座 丸楽座
価格は15万円 座高は7pから約1p刻みである。正座の時にお尻に敷く


( 問合せ先・電話番号03ー3623−0433(小峰ラタン株式会社) )